アメリカの音楽<歴史>

 アメリカ芸術音楽の歴史は、清教徒の賛美歌に始まるが、その熟成は19世紀以降、音楽の中心地であるヨーロッパ、特にドイツから移入し、発展したものである。そして、それは20世紀に至ってアメリカ的な実験的精神の下、独自の芸術分野を築き上げた。

★19世紀の音楽
★20世紀の音楽


☆19世紀の音楽

 19世紀中頃から、アメリカの音楽は、フォスターの純粋にアメリカ的な歌曲の創作を始めとして、同時にオーケストラの設立に代表される芸術への関心が高まって時期である。そこではアメリカ最古の歴史を誇るニューヨーク・フィルハーモニー協会の設立に始まり、大都市でオーケストラが相次いで誕生した。このようなオーケストラ設立と相まって、音楽の中心地であったドイツに留学し、アカデミックな研鑽を積んだマクダウェル、などによってアメリカ音楽の技術的完成の時代を迎えることとなった。


☆20世紀の音楽

 20世紀に入ると、アメリカ音楽は多様を極め、一方でジャズ・ピアニストとして活動していたガーシュウィンは、ジャズの手法をオーケストラに導入し独自の音楽領域を達成した。また、アメリカの芸術音楽の流れは、大別して2つの流れに区分される。その一つは、パリで学び、アカデミックな技法を尊重したコープランドなどの流れにある。これらの作曲家はヨーロッパ的伝統の下に新しい音楽を創造し、重要な痕跡を残した。そしてもう一つは、トーン・クラスターの発明で知られるカウエルを中心として展開した実験音楽の流れである。これらの作曲家にアイブズ、ケージなどがおり、彼らの音楽はアメリカ的な実験的精神の下で独特の展開を成した。特に、ケージはプリペアード・ピアノの工夫や偶然性の音楽によってヨーロッパの音楽界にも影響を与えた。この実験音楽の潮流とカウンター・カルチャーの中から、ライリー、ライヒらによるミニマル・ミュージックが生まれた。


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